第6回店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会が開催されました。
日経で報道があったFXレバレッジ規制10倍への検討会は「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」として開催されており、今回で6回目の開催となります。
前回の有識者検討会で、「レバレッジ規制見送り25倍据え置き、ストレステスト実施強化へ」の方針が示され、今回は最終的な報告書(案)が出されました。
傍聴する機会を得ましたので、配布資料や検討会の内容を解説していきます。
店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会(第6回)
2018年6月12日「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第6回)」が開催されました。金融庁ホームページに資料が公開されています。
有識者検討会の構成メンバー
座長 池尾和人 立正大学経済学部 教授
メンバー 上柳敏郎 東京駿河台法律事務所 弁護士
メンバー 勝尾裕子 学習院大学経済学部 教授
メンバー 黒沼悦郎 早稲田大学法学学術院 教授
メンバー 坂勇一郎 東京合同法律事務所 弁護士
メンバー 永沢裕美子 Foster Forum 良質な金融商品を育てる会 事務局長
メンバー 松井秀征 立教大学法学部法学科 教授
メンバー 弥永真生 筑波大学ビジネスサイエンス系 教授
オブザーバー
星野昭 株式会社三菱UFJ銀行 金融市場部長
伊藤渡 株式会社東京金融取引所 代表取締役専務
山﨑哲夫 一般社団法人金融先物取引業協会 事務局長
鬼頭弘泰 GMOクリック証券株式会社 代表取締役社長
髙村正人 SBI証券株式会社 代表取締役社長
松田邦夫 セントラル短資FX株式会社 代表取締役社長
緒方健太郎 財務省国際局為替市場課長
重本浩志 日本銀行金融市場局為替課長
※メンバー 上柳敏郎弁護士、メンバー 勝尾裕子教授は欠席でした。
報告書(案)
金融庁より「店頭FX 業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会 報告書(案)」として表紙含む17ページの資料、御友 総務企画局市場課市場業務管理官より説明がありました。
これまでの有識者検討会で討議されてきた内容がまとめられており、店頭FX業者の決済リスクの強化に向けた対応策があげられております。
店頭FX取引の規制に関する経緯
店頭FX 業者による顧客証拠金の流用等の事例が生じたことから、顧客保護、業者のリスク管理、過当投機の防止のため、2009 年に金融商品取引業等に関する内閣府令が改正された。これにより、①顧客から預託を受けた金銭の区分管理方法について、金銭信託への一本化、②ロスカット・ルールの整備及び同ルール遵守の義務付け、③個人のFX 取引についての証拠金規制2が、新たな規制として追加されることとなった。
ポイント
レバレッジ50倍、25倍への経緯が示されています。
リーマン・ショック後の国際的な規制の動向
2009 年9月のG20 ピッツバーグ・サミットの首脳声明では、「(中略)遅くとも2012 年末までに、標準化されたすべての店頭(OTC)デリバティブ契約は、適当な場合には、取引所または電子取引基盤を通じて取引され、中央清算機関を通じて決済されるべきである」とされた。
ポイント
有識者検討会で何度も出てきた中央清算機関への取り組みがこの頃から始まっているようです
店頭FX業者の3つのリスクと対応状況
店頭FX業者は、相場変動等に起因する以下の3つのリスクに晒されている。これらのリスクのいずれか又は複数が顕在化すれば、店頭FX 業者において損失が膨らみ、保有する流動性を超える支払いが生じ、その結果当該業者が決済不履行に陥る可能性がある
ポイント
(1)相場変動による未収金(顧客の差入証拠金)の発生リスク
(2)カバー取引先の破綻リスク
(3)未カバーポジションに係るリスク
店頭FX業者のストレステスト
ポイント
現在の店頭FX業者のストレステストにおける不備な点です。特に建玉残高は日中最大時で、取引所FXと同じくストレステストの実施は毎日でと指摘が上がっていました。
店頭FX業者の決済リスク管理の強化に向けた対応策
自己資本の充実は、店頭FX 業者が損失を抱えた場合の手当てとして、3つのリスクのいずれにも対応可能であり、決済リスク管理を向上させる上で汎用性が高く、優先度の高い対応策と考えられる。
店頭FX業者が既に実施しているストレステストについて、厳格化及び適正化を図ることが適当と考えられる点を述べています。
現状、建玉残高が少なくなる一日の取引終了時点の建玉残高に基づき算出しているが、取引が最も活発に行われている時点におけるリスクを織り込むため、これを日中最大の建玉残高を勘案して算出することが適当と考えられる。
現状、損失額から控除する証拠金額は、店頭FX 業者が顧客から実際に預かっている証拠金額としているが、このうち契約上必要な証拠金を超える部分は顧客が任意に引き出すことが可能である。このため、ストレステストの厳格化の観点から、取引所(清算機関)のストレステストにおける証拠金額の取扱いも参考に、損失額から控除する証拠金額を契約上必要な証拠金額とすることが適当と考えられる。
ポイント
建玉残高は日中最大時でのストレステスト実施
顧客から預かっている証拠金の扱いの変更が必要とされています。
・現状、建玉残高が少なくなる一日の取引終了時点の建玉残高に基づき算出しているが、顧客未収金の発生リスクと同様、カバー取引が最も活発に行われている時点におけるリスクを織り込んで算出することが適当と考えられる。
・これまでのストレステストにおいては、最大カバー取引先の破綻リスクをみてきたところ、これがG-SIFIs であればリスクをゼロとしてきたが、G-SIFIs のリスクも適正に勘案することが適当と考えられる。
・前述(3.)のとおり、カバー取引先が特定のPB 等に集中する状態になれば、当該カバー取引先に問題が生じると店頭FX 取引市場全体に大きな影響が出る可能性がある。これに関し、清算機関による債務引受けが行われた取引については、清算機関が十分な財務資源を有していることから、ストレステスト上リスク量をゼロとすることが適当と考えられる。このような取扱いとすることは、リスク削減のため清算機関の活用を促すことにもつながると考えられる。なお、現在カバー取引の清算業務を行っている機関はなく、今後の関係者における取組みが期待される。
ポイント
今までリスクをゼロとしてきたG-SIFIs、カバー先のPBのリスクを再度見直すことが求められています。清算機関の活用を促すことも明記されています。
ストレステストの実施頻度
常時リスクを把握する観点から、現状の年1回から毎日とすることが適当と考えられる。
ポイント
現在の店頭FX業者のストレステストは年に1回実施。
これを取引所FX(くりっく365)同等の毎日とするよう示されています
店頭FX 業者と顧客との利益相反関係に基づく不公正取引の防止とともに、決済リスク管理の強化を図る観点から、各業者に対し、日々の取引データ(約定・注文データ及び顧客に提示した価格等。カバー取引を含む。)について、自主規制機関及び当局への報告を義務付けることが適当と考えられる。
すなわち、店頭FX 取引では、顧客と業者が利益相反関係にあることから取引の公正性・透明性の確保が課題となっており、取引データの報告制度の充実による取引の監視体制の強化は、投資家保護の向上や適正な価格形成につながるものと考えられる。
ポイント
取引データの報告制度の充実
約定遅延度合、スリッページなどの分析を日々実施している米国の制度を参考にし強化が図られると思います
証拠金率(レバレッジ倍率)について
証拠金率の引上げ(レバレッジ倍率の引下げ)による決済リスクへの対応については、未収金リスクへの確実な備えとして必要であるとする意見や、取引規模を抑えるために必要であるとする意見のほか、投機性を抑制し投資家保護を図る観点からレバレッジ倍率の一律引下げが望ましいとする意見があった。
他方、証拠金率の引上げは、店頭FX業者が抱える3つのリスクのうち、業者の未収金発生リスクに備えるものであるが、店頭FX業者の決済リスクの管理という観点からみた場合、業者の自己資本が充実し、未収金を吸収できる十分な財務基盤を備えることとなれば、必ずしも現状以上の証拠金規制は必要ないとの意見、また、ボラティリティの異なる様々な通貨に対し一律の証拠金率を設定することは、理論的な裏付けが難しいとの意見もあった。
ポイント
レバレッジ倍率の一律引き下げが今回見送られた理由が述べられています。特にボラティリティが違う通貨ペアが一律に規制されるのは諸外国を見ても特異なので再考して欲しいです。
まずは厳格化・適正化された新たなストレステストの確実な実施を通じた自己資本の充実等により、高度なリスク管理体制の構築を確実かつ迅速に進めることとし、当局がその対応状況を確認するとともに、その効果を厳正に評価することが重要である。その上で、なお十分な効果が得られていないと判断された場合には、証拠金規制を含めた他の方策の採用について再度検討することが適当と考えられる。
ポイント
レバレッジ倍率の一律引き下げの前に、厳格化されたストレステストの実施をすることが決まりました。ストレステストの結果次第では再度検討すると明記されています
その他の対応策
① 未カバーポジションの情報開示
② ロスカット監視間隔の短縮
③ 相場急変時の対応
④ 顧客の損失を限定する規制
ポイント
顧客の損失を限定する規制で、ゼロカットシステム(Negative Balance Protection)に触れられています。金融庁的には損失補填という捉え方、モラルハザードの誘引、店頭FX業者のスプレッド拡大などを考慮し導入には慎重な感じを受けました。
有識者の意見
すべての参加メンバーが上記報告書(案)に賛成。
・自主規制団体にはご尽力して頂きたい
・くりっく365の不招請勧誘なくす検討、TVコマーシャルには十分な配慮を
・CCPへの取り組み
・海外当局との連携など
・ストレステストの実施状況、スピードの検証を etc...
まとめ
第1回~第6回有識者検討会の結論が出ました!
レバレッジ規制強化は見送りです。
まずは厳格化されたストレステストの実施が行われます。
その結果次第でレバレッジ規制が必要か再度検討するということになりました。
自己資本不足な店頭FX業者にはレバレッジ規制強化が科される可能性も残っています。
感想
2018年のレバレッジ規制強化は見送りになりました。
ストレステストの実施時期はいつなのか、業者のコスト増は投資家に影響あるのかなど分からない点も残っています。今後も注視したいと思います。
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