第5回店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会が開催されました。
日経で報道があったFXレバレッジ規制10倍への検討会は「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」として開催されており、今回で5回目の開催となります。
前日には、ブルームバーグ(bloomberg)よりレバレッジ規制見送り、25倍据え置き10倍への引き下げ見送りへとの報道がありましたので、現在の状況を確認したいと思います。
傍聴する機会を得ましたので、配布資料や検討会の内容を解説していきます。
店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会(第5回)
2018年5月30日「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第5回)」が開催されました。金融庁ホームページに資料が公開されています。
有識者検討会の構成メンバー
座長 池尾和人 立正大学経済学部 教授
メンバー 上柳敏郎 東京駿河台法律事務所 弁護士
メンバー 勝尾裕子 学習院大学経済学部 教授
メンバー 黒沼悦郎 早稲田大学法学学術院 教授
メンバー 坂勇一郎 東京合同法律事務所 弁護士
メンバー 永沢裕美子 Foster Forum 良質な金融商品を育てる会 事務局長
メンバー 松井秀征 立教大学法学部法学科 教授
メンバー 弥永真生 筑波大学ビジネスサイエンス系 教授
オブザーバー
星野昭 株式会社三菱UFJ銀行 金融市場部長
伊藤渡 株式会社東京金融取引所 代表取締役専務
山﨑哲夫 一般社団法人金融先物取引業協会 事務局長
鬼頭弘泰 GMOクリック証券株式会社 代表取締役社長
髙村正人 SBI証券株式会社 代表取締役社長
松田邦夫 セントラル短資FX株式会社 代表取締役社長
緒方健太郎 財務省国際局為替市場課長
重本浩志 日本銀行金融市場局為替課長
事務局説明資料(意見募集結果の概要)
まず最初に事務局説明資料として「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」についての意見募集結果の概要についての説明がありました。表紙を入れて2ページで配布されています。
「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」についての意見募集とは、5/8~18に一般募集された有識者検討会への意見募集のことで下記のように募集されていました。
金融庁に設置された「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(事務局 金融庁総務企画局市場課)においては、現在、金融資本市場におけるセーフティネットを整備する取組みの一環として、現行の店頭FX取引に係る決済リスクの管理が十分なものとなっているかについて検討を行っています。
当検討会では、これまでの議論の内容を踏まえ、更に、個人投資家を含め幅広い利用者の意見も踏まえて議論を進める観点から、広く意見を募集することになりました。
当検討会の趣旨及び検討状況についてはこちらをご参照ください。
店頭FXレバレッジ規制について意見募集開始!投資家は声を上げましょう!
FXレバレッジ規制に関係する有識者検討会について金融庁より意見募集が開始されています。 報道されているFXレバレッジ規制10倍への検討会は「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」として ...
意見概要
意見総数:345件
属性:個人342件(主な職業:会社員、個人投資家、弁護士、無職他)、法人3件
感想
件数について思ってたより少ないと感じました。
ネット上では多数の反対意見を見かけたのですが
主な意見
自己資本・ストレステストの拡充
店頭FX業者の決済リスクへの対応策を強化するのであれば、自己資本の強化・カバー先の分散・厳しいストレステスト等で対応するべき。
取引データの報告制度
配信レート等の不透明さが問題であるならば、報告の強化や情報開示の強化などを行うべき。
ロスカット制度他
・投資家保護の観点からは、ロスカットルールの厳格化が目的に即している。
・投資家の損失を抑えるため、業者が投資家の損失を補てんするゼロカット制度の導入が望ましい。
感想
レバレッジ規制より業者側の自己資本強化やストレステスト強化すべき、投資家目線の素直な意見だと感じました。
レバレッジ倍率
・レバレッジ倍率を引き下げれば、東京外国為替市場の出来高の多くを占めるカバー取引量も減少し、同市場の衰退につながる。
・流動性の低い不安定な通貨に係る取引について規制を強化するべきではないか。
・現状の25倍ですら諸外国と比較すると低い。更なるレバレッジ倍率の引下げは投資家の海外逃避を促進し、国内の業者の衰退を招く。
・10万円程度の少額の資金でも投資を楽しめるのが魅力であるのに、レバレッジが引下げられるとこれができなくなり、納得できない。
・働くことが難しく、やむを得ずFXで生計を立てている。レバレッジ倍率が引き下げられると追加の資金が必要となり、これまでどおりの取引ができなくなるため大変困る。
その他
全ての店頭業者にNDD(No Dealing Desk)方式を強制すれば、未カバーポジションによる決済リスクが低減するのではないか。※NDD方式:一般的には、カバー取引の成立を条件として顧客との取引を行う取引手法。
感想
流動性の低下、東京市場の衰退など、規制強化が及ぼす影響を投資家は身をもって感じています。欧米諸国より異常に低い10倍への理由が見つかりません。
討議資料
金融庁より討議資料として13ページのまとめ資料配布、御友 総務企画局市場課市場業務管理官より説明がありました。
店頭FX取引の規制に関する経緯から、第1回~第4回までの有識者検討会での内容がまとめられています。
これまでの有識者検討会の内容を把握するのに役立ちます。
レバレッジ倍率について
まずはストレステストを通じた自己資本の充実等を通じて、高度なリスク管理体制の構築を確実に進めることとし、その効果を評価した上で、なお証拠金規制を含めた他の方策の採用が必要であると判断された場合には、再度検討することとしてはどうか。
ポイント
今回のレバレッジ10倍への規制強化はとりあえず見送りです。ストレステストの結果次第で再検討することでまとまりそうです。
有識者の意見発表
資料についての説明が終わった後、有識者ひとりひとりが発言する場になりました。
上柳メンバー
・レバレッジ倍率すぐに規制に至らないのは非常に残念だ
・株の信用取引と比べても高い
・(投資家の意見募集より)10万円程度の少額でFXを楽しめる →これは投機ではではないか
・(投資家の意見募集より)やむをえなくFXで生計を立てている →そのようなものではない
・ストレステスト頻度は毎日
・日々の取引データ報告は必須
感想
前回の検討会でレバ10倍是非実現して頂きたいと言っていた上柳メンバー。「すぐに規制に至らないのは非常に残念」と現在でもレバレッジ規制大賛成派です。
10万円程度の少額でFXを楽しんだり、FXで生計を立てている投資家の意見には全否定でした。個人の自由だと思うのですが非常に違和感を覚えました。
勝尾メンバー
・ストレステストの強化、自己資本の積み増し
・ストレステストの内容を取引所と同等のレベルに
・監視体勢強化ならびに人員強化の必要性
感想
事務局側の意見に同意。ストレステストの強化や自己資本の積み増しで対応に賛成。
永沢メンバー
・事務局資料に賛成
・リスク対応不十分な業者があると私は認識した。スピード感を持って解決。
・レバレッジ規制ひとつに頼るのではなく、その前にやる事がある
・ストレステストの頻度上げる、自己資本が足りないところは当局が指導
・短期取引は投資とは言えないと思うが、どのようなスタイルの投資であれ他人に迷惑を掛けない限り尊重されるべき
・レバレッジ規制は投資家保護に資すると思うが先にすることがある
・FXの取引規模大きい。知らない人多い。専門家の目に触れるように情報開示。
・NBP(ゼロカットシステム)は慎重に。
・投資信託などで一般投資家も為替リスクある。FXから一般投資家に波及しないように。
感想
レバレッジ規制は投資家保護に資すると思うが先にやることがあるとのスタンス。今回で終わりではなく議論再開の判断を明記し再び検討再開するべき・・・終わりではないみたいです。
黒沼メンバー
・レバレッジ規制前にストレステストを通じた自己資本強化を
・自己資本不足には証拠金の積み増しなどリスク量の削減を当局が求める
・利益相反、公正取引を
感想
事務局資料に賛成。自己資本不足業者には証拠金の積み増し(レバレッジ倍率引き下げ)も事務局側の意見に賛成
坂メンバー
・バランスの取れた規制が必要
・ストレステストは事務局資料に賛成
・清算機関、利用促進の努力を
・レバレッジ規制はリスク低減には重要な手段。方向性としてはまずはリスク管理能力の向上を。
・未カバーポジションの情報開示
・NBP(ゼロカットシステム)欧州は導入。将来的には導入検討を。
感想
前回は「証拠金倍率で対応が望ましい」とレバレッジ規制強化大賛成という発言でしたが、今回は完全に事務局資料に賛成って感じになってました。ゼロカットシステム導入検討を継続
松井メンバー
・これまでの議論に基づいてバランスの取れた資料内容
・清算機関について現時点で取り組んでいるところは無いが、この検討会を通じて参加を促すのは面白いアイデア
・決済リスクの管理対応策について通常は業者の自主規制から業界の自主規制、それでも上手く行かない場合は当局の規制だが・・・
感想
決済リスクの管理対応策が何故いきなり当局の規制案からなのかと疑問をもっておられました。
弥永メンバー
・討議資料よくまとめて頂いている。決済リスク、ストレステストを通じた自己資本強化に賛成
・取引データ報告制度はかなりのコストを要する
・低コストに合理的に効率的にできるように検討して頂きたい
感想
前回もレバレッジ規制ありきでは無い感じでした。概ね資料に賛成。
金融庁の方より
・何を自主規制、何を内閣府令にするのか
・ストレステストは取引所と同レベルで
池尾座長の意見
・市場の失敗が存在するときは政府が出て行くが、政府も失敗するかもしれない。
・金融の場合は監督当局が直接やるというよりは自主規制から
金融先物取引業協会 山崎事務局長
・対応策は、システム変更、新設を伴う。大手でもかなりの負担
・時間も必要
三菱UFJ銀行 星野金融市場部長
・OTCの為替の世界はグローバル
・取引データの報告制度で、何をやっていいのか何をやっちゃいけないのか明確に
・為替のリスクのうちで大きいのは元本の決済リスク。リスクを消す仕組みを考えなきゃいけない
東京金融取引所 伊藤代表取締役社長
・私どもは清算機関ということで既に金利スワップについては世界的に清算集中
・一方、為替の実取引については清算集中の規制対象になっていない
・私どもは為替取引を清算集中できる方式を考えた。検討し始めている。
・マーケットとの秩序ある一助になれば
セントラル短資FX 松田代表取締役社長
・リスク管理を一段と向上させて市場の発展と安定に貢献したい
・店頭FXは今回考えられてるリスク管理の取り組みは個人向けの金融商品の中でも相当進んだ精緻なものになる
最後に池尾座長より
・80年代から90年代に掛けて、金融規制の考えた方が大きく変わった
・金融活動の高度化複雑化により、直接の規制に弊害が多い。金融の自由化を進める。
・自己資本充実してちゃんと行動に対して責任を取れる体勢を確保しているなら自由に活動してもらっていい
・自己資本が不足していて責任が取れない業者に対しては活動制限させてもらいます
・リスク量の把握が適切かどうかが問題。
・今回の基本的な考え方、流れは適切。
・機械的、一律的な規制はセカンドベストではなく、最後にやるべき。それ以外手が無い場合の最悪の対応って感じと個人的に思っている。
・頑張って、真面目にやっている業者も一律に制限を加えられてしまう。
・今回、自己資本が不十分だとされた業者については、行動をかなり制限させてもらう
感想
座長より基本的な考え方が示されていると思います。リスク量も把握せずに一律レバレッジ10倍に規制するのは最悪の対応ってことでしょうか。一方、ストレステストの結果、自己資本が不十分なFX業者があれば、証拠金の積み増し(レバレッジ規制強化)させてもらうという対応になりそうです。
まとめ
第4回の有識者検討会ではレバレッジ規制強化は既定路線かと思わせる内容でしたが、今回は一転、レバレッジ規制見送りが決定しそうです。
上柳メンバーはレバレッジ規制先送りは残念と述べており、永沢メンバーは今回で終わりではなく議論再開の判断を明記し再び検討再開するべきと。ストレステストの結果次第では再度レバレッジ規制強化をという可能性も残っています。
直前のリーク記事通りの内容で、今回の検討会前に見送り決定済みのような流れでした。
今日のポイントは、
→レバレッジ規制強化見送りへ
→ストレステスト次第で店頭FX業者によってはレバレッジ倍率規制強化
この夏頃のレバレッジ規制強化は先送りになりそうです。
神田教授の資料大賛成から金融庁の事務局資料に大賛成になった要因は何だったんだろうか謎が残ります。
ストレステストを取引所レベルへ、清算機関の利用促進をなどと、ちょくちょく東京金融取引所「くりっく365」の影が見え隠れします。引き続き注視しましょう。
次回の有識者検討会で正式決定される予定です。
動きがありましたらご報告します。
レバレッジ規制に対する回避方法
レバレッジ規制強化に対する回避方法は海外FX業者を併用するのが一番の対策です。まずは口座を開設し使い勝手など確かめてみましょう。取引ツールはMT4、MT5なのですぐに馴染めるはずです。
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